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一月前からだ。
どんなに忙しくても週末には店内奥の窓際席で
小刻みに膝を揺らす事が常態化してしまっている。
ふと指先に熱を感じて、タバコの灰が長く伸び切っている事に気が付く。
舌を鳴らして灰皿にそれをすり潰そうとするが、
既にうず高くつもった吸い殻でそれは叶わなかった。
隣の席から皿を寄せて改めてにじり消すと、
まるで心が掻き乱される気がした。
会いたい。
いつの間にか頭の中を這い、脳を捻り上げて離さないあの女に会いたい。
一晩、たった一晩夜を過ごした関係だ。
それだけなのに、蛇の目の彼女と絡み合った感触が、香りが、
その記憶が何度も俺の脳を痺れさせる。
会いたい。会いたい。
誤魔化す様に、またタバコを咥えた瞬間だった。
口元が弛緩し、咥えたタバコが落ちる。
まるで蛇の毒が回る様に。
入り口に漂うむせかえるような香が、俺の緊張と興奮をごちゃ混ぜにする。
きっと怯える様な、何かを期待する様にしている俺の瞳を見つけると、
蛇の目が細く鈍く光るのがわかった。
小刻みに震える手でタバコに火をつける。
立ちこめた煙が俺と彼女を包み、世界を霞ませていく。
タバコの煙
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